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KANAZAWA MUSEUM GUIDE -金沢よるまっし-

金沢21世紀美術館 イベント

イベント・行事名
アペルト13 高橋治希
会期
2020年12月19日(土) 〜2021年5月9日(日)
10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで) 開催中
詳細
人は「庭園」をめぐる時、何を思うのでしょうか。ひとり佇む時も、親しい人と会話しながら楽しむ時も、何かしら気持ちを切り替える場所として、庭園はあるのではないでしょうか。高橋治希(1971- )は、美術館の空間に庭園としての「園」を作りだします。一貫して、風景や自然をテーマにインスタレーション作品を制作してきた高橋が、社会に対して声高に叫ぶ作品ではなく、もっと個人的な作品との出会いを生み出したいと行き着いたのが「園林」でした。園林とは、中国の庭を総称する言葉です。園林は、人がゆっくりと巡り歩くにしたがって、さまざまな風景と出会う構造をもっています。ひとつひとつの風景に思想があり、人生のあらゆる場面が凝縮されています。自分自身の歩みによって、それぞれの人生が心に映し出され、人と宇宙がつながります。

金沢21世紀美術館につくりだされる園林には、水があり、山があり、光があり、闇があります。何種にもおよぶ野草は、わたしたちが共に生きている植物たちです。光を透過する白磁は、触れれば砕けてしまう脆さももっていますが、大切に扱えばそのままの形で永遠に残り続けます。硬質さと脆さを併せもつ風景から、人生の儚さや、消えてはまためぐる記憶の数々がより一層強く意識されるにちがいありません。
園林は、自然を素材としていますが、決して自然ではありません。複雑な思想を映し出し、見る人を想定しながら造形される「作品」です。高橋は、西洋の美術史の文脈から意識的に離れ、見る人それぞれの精神性を映し出す園林を展示空間に創造し、東洋的なインスタレーション作品のあり方の追究を試みます。

[写真]
高橋治希《sea vine-波打ち際にて-》2019
瀬戸内国際芸術祭2019、香川
photo: KIOKU Keizo